見落としやすい!現預金の相続税評価額
亡くなった人の現金や預貯金は当然のことながら相続財産として相続税の対象となります。
現預金を所有していない人はいないため、申告時には必ず出てくる項目です。
現預金は税務調査の際に申告漏れを指摘されるケースが多いためしっかり確認していきましょう。
この記事を読んでわかること
1.現金
(1)相続開始直前に預金から引き出した現金
(2)タンス預金や貸金庫として保管している現金
2.預金
(1)普通預金
(2)定期預金
(3)名義預金
なぜ必要なのか?
申告漏れが多い項目のため、理解しておくのが重要。
具体的な内容
1.現金
相続開始日時点で被相続人が所有していた現金は相続税の対象となります。
現金が多額になりやすいケースとしてよくあるのは下記に該当する現金があるときです。
(1)相続開始直前に預金から引き出した現金
被相続人が亡くなった場合、銀行口座が凍結されるため事前に葬儀費用や病院代を引き出しておく場合があると思います。
相続が起きる前に引き出していた現金で相続開始時点で手元に残っていた現金は相続財産として計上しなければなりません。
(2)タンス預金や貸金庫として保管している現金
金融機関にお金を預けることなく自宅の金庫などに保管している現金や、金融機関の貸金庫に入っている現金は高額になる傾向があります。
2.預金
相続開始日時点の残高が相続税評価額となります。
預貯金をその時点で解約したとされる場合に支払われる既経過利息を相続税評価額に含める必要がありますが、普通預金か定期預金かで取扱いが異なります。
また、いわゆる「名義預金」と言われるものについても申告が必要となります。
(1)普通預金
相続開始日の残高が評価額になるため、残高証明書を銀行から取得してください。
既経過利息が少額のものは課税上弊害がない限りは既経過利息を相続財産に含める必要はありません。現在の超低金利の環境では既経過利息が問題になるケースは少ないものと思われます。
(2)定期預金
「定期預金残高+既経過利息-源泉所得額相当額」が相続税評価額となります。
定期預金は既経過利息が少額であっても相続財産に含める必要があります。
(3)名義預金
名義預金とは形式的には家族の名義での預金となっているが、実態は被相続人の預金であるものをいいます。ここは税務調査で非常に論点になりやすく、その判定にあたっては名義人である家族がその口座の存在を知っていたか、通帳と印鑑を誰が管理していたかなどの実態が重要になります。
まとめ
・相続開始時点の現金は税務調査の対象になりやすいポイントになっているので取扱いには注意が必要。
・形式的に預金を移しても、相続税評価額に含まれる。