不動産の相続登記は大変?
相続税の申告を行うときに必ず出てきている財産に預貯金がありますが、それに次いでやはり不動産をお持ちの方も多いなと感じています。ご自宅だけをお持ちの方もいれば、不動産賃貸業を行っているため複数の土地や家屋をお持ちの方もいらっしゃいます。相続税の申告は必要なかったけれども不動産の相続登記は行ったという方も多いはずです。それでは相続財産に不動産があった場合、取得した人はどのような手続きをしていけばよいのでしょうか。
遺産分割の方法によって必要書類は異なる?
相続により不動産を取得する場合、相続人間で行われる遺産分割協議によるものなのか、被相続人からの遺言によるものなのか、それとも法定相続分によるものなのかなど取得までの過程はそれぞれです。そして相続登記をする場合、このどれに該当するのかによって登記のために必要な書類も異なってきます。
例えば遺産分割協議によって取得した場合に必要となる主な書類は下記のようになっています。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明
・不動産を取得する人の住民票
・相続が発生した年の固定資産評価証明書
・対象となる不動産の登記簿謄本
これらを用意したうえで登記申請書に必要事項を記載し、管轄の法務局にて手続きを行います。
登記をしなかったらどうなるの?
遺産分割によって不動産を取得したとしても使い道がない若しくは登記費用がもったいないなどの理由で登記を行っていないケースもあります。所有権移転に係る権利の登記については直接的な罰則規定がないため登記をしていない人も多いのですが、結果として相続登記が完了していない不動産が日本全国に蔓延している状態となっています。また、本来相続登記をすべき人が登記をしないで亡くなったため、その相続人である子も相続登記をしないケースやそもそもその不動産があることすら知らないというケースもあります。例えば土地開発をしようとしている会社が一画の不動産をまとめて購入しようとする場合は個々の不動産の持ち主とそれぞれ交渉をしますが、その所有者が誰なのかがまったく分からないこともあるため、そのような場合は開発することが困難となってしまいます。そこでこの状態を少しでも解消するために、2018年4月1日から2021年3月31日までの
期間に限り一定の要件を満たす土地の登記については登録免許税(土地の価額×0.4%)を免除する措置が図られました。ただし、建物の登記についてはこの措置は対象外であるなど気を付けなければならないこともあるので注意が必要です。
まとめ
個人の方が不動産の相続登記をするのは一生に一度あるかないかだと思われます。自分でやってやれないこともないので登記手続きを経験するのもよいかもしれませんが、不慣れなことに膨大な労力を使うのであれば多少の料金を支払ってでも登記の専門家である司法書士さんへ依頼するのが良いのかもしれませんね。