二重課税を防ぐ贈与税額控除
相続により財産を取得した人が、亡くなった人から相続の開始前3年以内に贈与を受けている場合は、その贈与を受けた財産も相続税の計算をするうえで再度財産に加えられ、相続税の対象となります。
これを「生前贈与加算」といいます。
しかし、贈与税を支払っているのに相続税も課税されたら1つの財産について二重に課税されてしまうことになります。
そのため、贈与を受けた時に支払った贈与税は相続税から控除することができます。これを「贈与税額控除」といいます。これにより贈与税と相続税の二重課税を防ぐことができます。
なお、贈与を受けた際に基礎控除以下であり、贈与税を納付していない場合には本規定は関係ありません。
この記事を読んでわかること
・贈与税額控除の計算方法
・具体例
なぜ必要なのか?
贈与税と相続税が二重に課税されてしまうことがある。
具体的な内容
■贈与税額控除の計算方法
贈与税額控除の計算は次の通りです。
A×C/B=贈与税額の控除額
A・・贈与を受けた年分の贈与税額(※相続時精算課税における贈与税額を除く)
B・・贈与を受けた年分の贈与財産の合計額
C・・贈与を受けた年分の贈与財産のうち、相続税の課税価格に加算された贈与財産の価額
※相続開始前3年分をそれぞれ計算した合計が贈与税額控除となります。
■具体例
平成28年9月に父から500万円、母から200万円の贈与を受け、贈与税を88万円 支払っている。
その後、父が平成30年10月に死亡。
この場合の贈与税額控除は次のように計算します。
88万(A)×500万(C)/700万(B)=62.8万円
メリット・デメリット
制度を理解していないと贈与税と相続税を二重で支払うことになってしまう。
まとめ
・贈与税額控除は、贈与税と相続税の二重課税を防ぐためのもの