貸付事業用宅地等・30年改正

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小規模宅地特例は相続財産総額の大きな割合を占めることが多い宅地の評価額を大幅に減額することができる特例のため、過度な節税を目的とした利用が多く、それが問題視される度に改正がされ、適用要件が複雑化しています。

貸付事業用宅地等についても平成30年度税制改正で大きく制限がかかりましたので、今回確認したいと思います。

 

貸付事業用宅地等の概要

相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で一定の要件に該当する宅地について、限度面積200㎡まで相続財産評価額を50%減額することができる特例です。

 

相続税の減額のみを目的に相続開始前に投資用物件等を購入しそれを貸し付け、相続開始後(正確には相続税申告期限後)にすぐ売却する事例が相次いでいました。不動産の評価額は一般的に購入額よりも低くなりやすく、その上貸し付けをすると宅地も家屋も評価減の対象となり、さらに小規模宅地特例で宅地の減額ができるためです。前々から問題視されていた内容でしたが、ついに規制がかかりました。

 

例:路線価評価額1億円(200㎡、借地権割合60%、借家権割合30%)の宅地を家屋と一緒に貸し付けた場合

⇒相続税評価額:1億円×(1▲0.6×0.3)=8200万円

⇒小規模宅地等の減額:8200万円×50%=4100万円

 

改正内容

平成30年度税制改正により相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された場合については、小規模宅地特例の対象外となりました(租税特別措置法69条の4③より)。

ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている場合は、相続開始前3年以内に取得した貸宅地であっても小規模宅地特例が認められます。事業的規模については明確な記述がありませんが、一般的に所得税と同様、下記のいずれかに該当するものと考えられています。

・貸間、アパート等については、貸与することができる独立した客数がおおむね10以上であること

・独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること

(所得税法基本通達26-9より)

 

適用時期と経過措置について

平成30年4月1日以降の相続について適用されます。但し、平成30年4月1日前から貸付事業の用に供されている宅地については3年以内の貸付であっても貸付事業用宅地等に該当することとする経過措置があります。平成33年(令和3年)3月31日までに発生する相続については注意が必要そうです。

 

小規模宅地等の特例は適用要件が複雑化しています。判断に迷った場合は税理士に問い合わせすることをお勧めいたします。

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