仮想通貨に係る相続税・贈与税の取扱い

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先月11月21日に国税庁が「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」を公表しました。

その中で相続税・贈与税関係の部分について解説していきます。

 

仮想通貨を相続や贈与により取得した場合の課税関係

仮想通貨を持っている方がなくなった場合には相続税の対象になりますし、仮想通貨を贈与により取得した場合には贈与税が課されます。

これは、相続税法では経済的価値のあるもので金銭で見積ることができるものは相続税・贈与税の課税対象になると定められているためであり、当然といえば当然のことです。

 

仮想通貨の評価方法

結論からいいますと、相続人等の納税義務者が取引を行っている仮想通貨交換業者が公表する課税時期(相続開始日や贈与日)における取引価格によって評価します。

 

以下、解説いたします。

まず、仮想通貨の評価方法については現状において財産評価基本通達に定めはありません。したがって、財産評価基本通達5により、財産評価方法に定める評価方法に準じて評価することになります。

 

財産評価基本通達5(評価方法の定めのない財産の評価)

この通達に評価方法の定めのない財産の価額は、この通達に定める評価方法に準じて評価する。

 

国税庁の公表では、外国通貨に準じて評価するのが適切だと書いています。そして、相続人等の納税義務者が取引を行っている仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価するとしています。

 

仮想通貨は外国通貨に準じた評価が妥当なのか?

仮想通貨は値動きが非常に激しいものです。最もメジャーなビットコインでも平成30年2月に最高値の約200万円をピークに、平成30年12月現在では40万円を下回っています。

上記のとおり、課税時期における取引価格のみによって評価すると次のような弊害が考えられます。

 

とある仮想通貨を200通貨持っているとします。

相続開始日の取引価格は1通貨30,000円ですので相続税評価額は600万円(@30,000円×200通貨)になります。

しかし、この30,000円という価格は相続開始前に一時的に高騰したものであり、翌6月には1通貨10,000円に戻っていたとします。

相続開始日の前月である4月の平均では1通貨9,000円ですので相続税評価額は180万円(@9,000円×200通貨)となり、3倍以上の評価額となってしまいます。

 

このような場合でも30,000円で評価しなければいけないのでしょうか。

今回のFAQを見る限りは、外国通貨に準じた評価とありますので、600万円で評価しなければいけないと考えたほうがよいでしょう。

 

上場株式に準じた評価の可能性は?

上場株式の評価では上記で述べたような価格の変動による不公平感をなくすため、評価の安定性を考慮して、次の中から最も低い価格により評価できることとしています。

 

・課税時期(相続発生日または贈与日)の最終価格

・課税時期の月の毎日の最終価格の平均額

・課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額

・課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

 

仮想通貨の価格変動面における性質からすると、上場株式に準じた評価のほうがしっくりくるように思います。

今後国税庁のほうで検討していただきたいところです。

 

執筆者:税理士 藤田賢

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