実地調査とは?
税務調査といえば一般的には強制捜査ではなく任意調査(実地調査)のイメージがありますね。
この「実地調査」については国税通則法において、「国税の調査のうち、当該職員が納税義務者の支配・管理する場所(事業所等)等に臨場して質問検査等を行うもの」と定義づけています。
実地調査を行う場合は税務署から納税者に対して事前に通知があるのが一般的です。
そこで調査日時等について取り決めをしたうえで調査が行われますので、何の前触れもなく調査官が自宅にやってくるというのはほとんどありません。
事前の通知がなくやってくるケースとしては、脱税などの証拠をつかんでいて、事前に調査の通知をすることでその隠ぺい等を図られる可能性がある場合などです。
また、調査官は調査の過程で相続人以外にも接触して調査を行うことがあります。
いわゆる「反面調査」と言われるもので、相続税の場合は金融機関や証券会社がその対象になることが多いでしょう。
預貯金にしても有価証券にしてもその金銭の支出が何に使われているのか、残高が増えた場合はその資金源は何なのか、さらには家族名義の預貯金や有価証券の口座へ金銭が流れていないかなど、これらを確認することで生前贈与や名義預金の有無を把握していき疑問が生じた場合はその説明を求められることになります。
平成28事務年度(平成28年7月~平成29年6月)における相続税の調査では、申告漏れ課税価格3,295億円の内訳として高い順から現金・預貯金等が1,070億円、有価証券が535億円、土地が383億円(以下省略)となっており、現金・預貯金と有価証券で概ね50%を占めています。
預貯金を隠していたとしても反面調査によって判明する可能性が高いですし、被相続人と相続人間における入出金の口座履歴から生前贈与があることを想定することが容易なケースもあります。
実地調査や反面調査があっても問題ないように、申告書の作成時にはすべての預貯金口座の推移を確認し、申告漏れがないかなどきちんと検討してから作成しなければなりませんね。
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執筆者:税理士 佐藤友一