任意調査と強制調査の違いとは?
「税務調査があります」と聞いて楽しみにする納税者はいないと思いますが、ひとことに税務調査と言っても「任意調査」と「強制調査」に大別することができます。
「任意調査」とは、国税通則法という法律により国税庁の職員に認められている質問検査権に基づくものであり、それは次のように定められています。
国税通則法第七十四条の三
国税庁等の当該職員は、相続税若しくは贈与税に関する調査若しくは相続税若しくは贈与税の徴収又は地価税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査又は徴収の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、第一号イに掲げる者の財産若しくは第二号イからハまでに掲げる者の土地等(地価税法第二条第一号(定義)に規定する土地等をいう。以下この条において同じ。)若しくは当該財産若しくは当該土地等に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
この質問検査権に基づく任意調査を断ることができるのかと言うと、やはり断ることができません。これも国税通則法で次のように定められています。
国税通則法第百二十八条
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 (省略)
二 (一部省略)~当該職員の質問検査権の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
三 (一部省略)~物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出した者
このように、「任意調査」と言っても虚偽答弁などをした場合は懲役又は罰金を処される可能性があります。
それでは「強制調査」とはどのようなものかと言うと、国税犯則取締法という法律に基づき犯則事実の存否とその解明を目的とした調査であり、裁判所の許可を得て行う臨検や差し押さえなどの強制処分を兼ねた調査が一般に強制調査と言われます。
大半の方は強制調査には関係がないと思いますので、次回以降は通常の任意調査についてより深く記載していきたいと思います。
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執筆者:税理士 佐藤友一