みなし相続財産とは?
みなし相続財産とは被相続人固有の財産ではない若しくは被相続人が亡くなった時点で保有している財産ではないが、被相続人の死亡を原因として相続人が取得するものです。
これらは本来の相続財産ではありませんが、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。
この記事を読んでわかること
1.みなし相続財産の代表例
(1)死亡保険金
(2)死亡退職金等
(3)弔慰金
(4)定期金
(5)信託受益権
(6)債務の免除
(7)被相続人が死亡する前の3年間で贈与された財産
(8)生命保険契約に関する権利
2.みなし相続財産の非課税枠
なぜ必要なのか?
みなし相続財産をしっかり理解していないと思わぬ財産に相続税が課税されてしまう
具体的な内容
2.みなし相続財産の代表例
(1)死亡保険金
被相続人自身が保険料を支払っていた生命保険の死亡保険金を受け取った時は、みなし相続財産として相続税の対象となります。
(2)死亡退職金等
被相続人が受け取るはずだった退職金、功労金で死後3年以内に支払われることが確定したものはみなし相続財産として相続税の対象となります。
(3)弔慰金
弔慰金とは被相続人が会社員だった場合などに、企業から亡くなった人への功労とその遺族の今後の生活の支えとなるために送るお金のことです。
弔慰金は本来非課税です。
世間一般的な金額である場合には課税はされませんが、多額の弔慰金が支払われるような場合には節税行為を防止するためにみなし相続財産として相続税の対象となります。
(4)定期金
定期金とは個人年金保険や収入保障保険など定期的に支給されるものをいい、被相続人が掛け金や保険料を負担し、年金の受取人が相続人等(被相続人以外)の場合であるものはみなし相続財産として相続税の対象となります。
(5)信託受益権
遺産を信託銀行などに預けて、管理、運営を任せることを信託といいます。遺言によって信託を委託した人以外の人が、信託からの利益を受ける場合にはみなし相続財産として相続税の対象となります。
(6)債務の免除
遺言によって借金を帳消しにしてもらった場合や借金の肩代わりをしてもらった場合はその金額はみなし相続財産として相続税の対象となります。
(7)被相続人が死亡する前の3年間で贈与された財産
被相続人が亡くなる3年以内に贈与された相続財産は、みなし相続財産として扱われ、相続税の課税対象になります。相続人が死亡する直前に節税のために贈与しておくということを防ぐために作られている規定です。
(8)生命保険契約に関する権利
相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約(掛捨ての保険契約を除く)で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担しており、かつ、被相続人以外の人がその契約者である場合の生命保険契約に関する権利については、被相続人が負担した保険料に相当する部分が、契約者の相続財産とみなされ相続税の対象となります。
3.みなし相続財産の非課税枠
死亡保険金と死亡退職金は一定額までは相続税の対象とはならずに非課税となります。
非課税となる金額は、①受け取った金額と②500万円×法定相続人の数のいずれか低い金額となります。
例)被相続人に妻と2人の子供がいて、生命保険金が3,000万円支払われた場合。
①3,000万円
②500万円×3人=1,500万円
③①<② ∴非課税となる金額は1,500万円
死亡保険金と死亡退職金の両方がある場合、非課税金額はそれぞれで適用することができます。
まとめ
・被相続人の死亡を原因として相続人が取得するものは相続財産とみなされる。
・死亡保険金と死亡退職金は①受け取った金額と②500万円×法定相続人の数のいずれか低い金額は非課税