自宅の火災により亡くなられた場合の家屋の相続税評価について
自宅の火災により亡くなられた場合、自宅(家屋)の相続税評価額をどうすればいいかといった相談を受けることがあります。相続財産の評価の原則では、「財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況~~によって評価した価額による。」とされており、亡くなった時点の現況で家屋がどのような状態であったかを検討する必要があります。
<死亡推定日時以後に鎮火されたケース>
例えば下記の時系列で考えた場合、亡くなった時点でまだ家屋が存在し、亡くなった後で家屋が焼失したと考えられるため、相続税評価は一旦、固定資産税評価価格で判断することとなります。ただ、相続開始後に災害により被害を受けた場合、災害減免法の適用を受けることができるため、災害減免法に基づいた計算明細書を添付した期限内申告書を提出することで、減免措置、例えば全焼の場合は家屋の評価額の100%を控除することができます。
時系列①
・出火日時:31年1月15日2時22分
・鎮火日時:31年1月15日6時1分
・死亡推定日時:31年1月15日3時頃
<死亡推定日時前に鎮火されたケース>
例えば下記の時系列で考えた場合、亡くなった時点で家屋が焼失していることとなるため、全焼の場合、家屋は存在しなかったこととなり、評価しないこととなります。
時系列②
・出火日時:31年1月15日2時22分
・鎮火日時:31年1月15日6時1分
・死亡推定日時:31年1月15日7時頃
火災により亡くなられた場合、火災保険の請求権の評価という論点も同時に発生するケースが多いですが、基本的には上記考え方と同様、亡くなった時点で請求権が発生していたかどうか、ということとなります。その他にもいくつか論点が発生する少々特殊なケースのため、もし悩まれた場合は、相続税申告に実績のある税理士事務所にご相談されることをおすすめいたします。
執筆者:関口達也