医師・歯科医が亡くなった際の相続税申告について

 相続税の基礎控除額の大幅引き下げ(4割減)が27年から実施され、開業されている医師・歯科医の相続時にはかなりの確率で相続税申告が必要となりました。基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数、となっており、事業財産や不動産、現預金等の財産評価額の合計額がその基礎控除額を超える際には申告義務が発生します。

開業医師・歯科医の相続においては、後継者がいるかいないかに関わらず、数多くの注意点があるため、できることなら生前の早い段階で相続に強い税理士に相談されることをお勧めいたします。

 ご自身で検討される際は大きく下記の内容を把握しておきましょう。

1. 平成31年4月創設の個人版事業承継税制による納税猶予を検討する

後継者がいる場合、平成31年4月創設の個人版事業承継税制により、適用要件を満たせば、事業財産(土地・建物・医療機器等)について、税金を払わずに後継者へ贈与又は相続させることができるようになりました。

2. 遺留分の減殺請求により後継者が不利な立場とならないような対策をとること

 開業医師・歯科医が①の納税猶予を検討される際は、遺産分割において後継者以外の相続人に対する配慮も重要となります。開業医師・歯科医の相続時には相続税評価額のうち、事業財産が大部分を占めるケースが多く、事業財産を後継者に相続させた場合、他の相続人が満足な財産を取得することができず、後継者は遺留分の減殺請求を受ける可能性がでます。ただ、この場合、後継者も相続している財産は事業財産しかないため、現預金等による代償分割を行うことが困難となります。そのため、あらかじめ下記のような対策をとる必要があります。

  • 生前に開業医師・歯科医から後継者以外の相続人に財産を贈与し、それと引き換えに遺留分の放棄をしてもらう
  • 生命保険金・退職金を活用し、後継者以外の相続人にも相続財産が分配されるようにする

また、後継者がいない場合には親族以外を副院長とし、院長交代のタイミングで所有不動産等を元副院長に貸し付けるといった対策も有効となります。開業医師・歯科医の相続は一般的に高額の相続税額が発生します。いずれの対策についても税理士に相談されることをお勧めいたします。

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